腎臓とレイキ

 

健康教室 トルーレイキ療法から視た老化

2013年07月18日
2013年07月19日 微追加
2013年07月24日 微追加

人体の働きを支配しているのは大脳ではない

  医学および生命科学的な視点で老化について説明してきましたが、最後に私の感じてきた老化について説明します。
  年配の方々の体を見てきた経験から、老化は生理的老化ではなく病的老化によって進行していくことを実感していますが、トルーレイキ療法、つまり気の技法の視点で視ると、もう少し違った臓器が老化を支配しているように思います。脳と小腸です
  脳といっても大脳ではなく、もっと古い脳である間脳(+脳幹)と小脳です。老化の進行は、主にこの部分に支配されている印象があります。ここでは、脳および小腸と体内機能の低下(老化)に関する自説を紹介します。

気の技法と脳

  ヒトの脳の約8割は大脳ですが、大脳はヒトが高度な知的能力を持つために発達してきた脳であって、ヒト本来の生命活動やその維持にはあまり関係していません(大脳にも新しい脳と古い脳がありますが、ここでは言及しません)。
レイキと老化   脳を大きく分けると、大脳間脳(かんのう)+脳幹(のうかん)、小脳の3つの部分に分かれます(右表参照)。そして、無視され勝ちですが、背骨に連なる脊髄(せきずい)も脳の一部です。
  大脳より古い脳である間脳や小脳、さらに脳幹といわれる脳は、生命維持や生命活動に深く(直接的に)関与しています。
  大脳は意識活動の中心ですが、間脳、小脳、および脳幹は、無意識活動の中心であり、生きるために必要最小限の脳です(ここでは、脳幹を狭義の意味で使用しています)。
  これらの脳の活動が停止した状態を脳死と定義している国(英国)もあります(日本では、すべての脳が機能停止した状態を脳死としています)。*1)
  逆に、これらの脳が活動していて、大脳が活動していないと植物人間の状態になります。
  (正確には、脳幹の一部である延髄さえ活動していれば、植物人間の状態は維持されます。)
  このように、身体の異常や老化などはこの部分の機能低下と密接に関係しています。
  たとえば、自律神経の調整(内臓などの異常と直結)、体温調節、食欲や性欲、ホルモン分泌、身体の運動機能や姿勢維持機能などです。

  情報の流れとして、
      大脳 ⇔  間脳・脳幹 ⇔ 脊髄
      大脳 ⇔ 小脳 ⇔ 脳幹 ⇔ 脊髄
が重要ですが、大脳とその他の脳の役割が違います。
   大脳         人間として生きるために必要な脳(意識の維持
   間脳・脳幹・小脳 生命を維持するために必要な脳 (生命の維持

  このような視点で、各種の気の技法を調べてみると、いずれもこの古い脳を活性化する訓練法のあることが分かります。効率を無視すると、戦前の霊術、レイキ法、古神道、気功、ヨーガ、野口整体など、例外なく古い脳を活性化する手法が存在します。
  トルーレイキ療法では、この部分(古い脳)の活性化を明確化し、重点的(意図的)に行っています。

[例] 脊髄行気法(野口整体)
  これは、後頭骨から息を吸い込み、背骨を通して腰の辺り(尾てい骨)からゆっくり息を吐き出す方法です。通常、この呼吸法を5,6回行います。
  この行法の目的は、小脳と脳幹および脊髄に気を通し、これらを活性化することです。
  本のタイトルは忘れましたが、野口先生が書かれた本を読んでいたときに、「脊髄行気はどの辺までするのかと良く聞かれるのですが、腰付近までくれば、後はどうでもよいのです。」(正確な文章は忘れました)と書いた文章に出会ったときに、(みごとに本質を突いておられたので)思わずほほが緩んだ記憶があります。

ホメオスタシス(生体の恒常性)

  私たちの身体は、内外の環境変化に適応し、安定を保つために、ホメオスタシスという恒常性維持機能が備わっています。
  この恒常性を保つ働きを担うのが、以下の3つのシステムになります。
   1.自律神経システム  内臓などの身体の働きを調整します
   2.内分泌システム    各種のホルモンの分泌を調整します
   3.免疫システム     外部から侵入する外敵を排除します
  この3つのシステムに、脊髄・筋肉システムが加わって、生命維持がなされています。
  この恒常性を乱す原因が、血液循環の乱れ(冷え)であり、自律神経の乱れ(ストレス)です。
  そして、このホメオスタシスを担っている中心脳が視床下部(間脳)になります。
  また、視床下部は、原始的な生存本能(欲求)の源でもあります。
  トルーレイキ療法で、間脳(+脳幹)の活性化を最重要視している理由がここにあります。

フロイトが唱えたリピドーの根源は視床下部

  ちなみに、精神分析学を創りあげたジークムント・フロイトは、あらゆる精神活動の根源となるエネルギーは性的欲望であるという性欲衝動説(リビドー説)を唱えましたが、このリピドー(性的欲望、性衝動)は、視床下部の働きと考えられます。
  従って、フロイト流に言いますと、視床下部の指令に基づいて、我々の欲求行動が生じていることになります。
  また、性欲が衰えるのは、視床下部の機能低下に起因している場合があります。
  なお、精神分析学では、リビドー(Libido)を、様々な欲求に変換できる心的エネルギーと定義しています。

レイキと老化

老化は視床下部と関係?

  右図で、各脳の位置関係がお分かりいただけると思いますが、間脳(特に、視床下部と下垂体)が生命(力)を維持する中枢であり、ホメオスタシス(生体の恒常性)を保つために、間脳と脊髄(せきずい)の円滑な交流は欠かせません。
  その情報流の大動脈が脳幹(のうかん)です。
  これらの部分の重要性、またこれらが老化に関係するであろうことは、この位置関係からも推測できるのではないかと思います。
  以前に、ホメオスタシスに影響を与える腎臓の機能低下が老化を促進すると説明しましたが、そもそも、恒常性を保つ働きを指示している総本山は視床下部(間脳)です。
  従って、視床下部(間脳)が老化に関与していると考えることは自然な流れといえるでしょう。

  なお、筆者が古い脳と老化の関係に興味を持ったキッカケは、老人の動きでした。
  30歳前後から加齢とともに、筋肉も神経も減少します。従って、年をとると、若者のような機敏な動きができなくなるかもしれません。
  しかし、お年寄りの動きには、それだけでは説明できない不自然さを感じました。単に、動きが遅いだけではなく、動作がぎこちないのです。
  この動きのぎこちなさは、(筋肉を制御している神経の減少が関係しているかもしれませんが)動きを支配している中枢神経(小脳)の機能低下に起因することが考えられます。
  そうすると、内蔵の機能低下は、(内蔵を制御している)自律神経の中枢である視床下部の機能低下にも影響されるという推測ができます。
  また、ホルモン分泌の老化は各内分泌腺の老化であるとしても、それらの老化は、ホルモン分泌を制御している視床下部と下垂体の機能低下による影響を受けている可能性があります。
  ヒトの特徴である大脳は進化論的には新しい組織であり、使えば機能低下しにくい組織です。しかし、古い組織である脳幹、小脳、間脳は、体内活動の維持と制御を担っている(生存のための)脳であり、多くの動物と共通する部分が少なくありません。
  従って、これらが衰えることによって、老化を促進する可能性があるわけです。
  実際、(この古い脳を鍛えているであろう)気の達人たちに共通することは、年齢の割りに若く見え、動作も機敏であり、頭もしっかりしていることです(中には例外もあるでしょうが)。
  このことは科学的とはいえませんが、上記の考えを支持する、数少ない、そして頼りないですが、例になります。

松果体

  頭には、脳ではありませんが松果体という内分泌器官があります。上図で間脳の右側に出ている小さな器官(赤色)です。
  松果体は、暗くなるとメラトニンというホルモンを産生し、明るくなるとメラトニン産生を抑制します。このメラトニンには眠りを誘う効果があり、また、動物実験では寿命延長効果のあることが分かっています。
  子供の松果体は大きく(熟睡する)、思春期になると縮小します。
  これらのことから、松果体と老化の関係が議論されたこともあります。
  また、鳥には松果体に時計機能がありますが、人間のような哺乳類では時計機能は視床下部にあります。
第3の眼   なお、松果体は第3の眼としても知られています。人類の祖先が一つ目であったころ(ナメクジウオ)の眼が松果体です。現代でも、昆虫や爬虫類の中には第3の眼をもっている種があります(右の写真参照)。
  松果体と脳の関係は十分分かっているとはいえませんが、気の技法を扱う世界では、松果体の活性化を重視しています。

気(レイキ)は怪しい?

  ところで、「気」について書くと、怪しい、うさんくさいと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
  筆者自身、そのような考え方に多くの点で同意します。
  特に、「レイキ」について書いてある本の多くは、内容的にほとんど完璧に間違っていますし、オカルトや新興宗教と区別できないものが少なくありません(本当の宗教には、理[コトワリ]があり、知性の響きがあります)。ただし、戦前に書かれた本やその流れにある本にはしっかりしたものがあります。
  ただ、各種の気の技法には、(当人たちが全く理解していなくとも)明確な原理・原則があり、それは、西洋医学的な立場から見て、身体の健康を維持するための方法論としてきわめて有効な手法になっています。
  怪しいのは、気(レイキ)に親しんでいる人たちの気(レイキ)に対する考え方とその利用法です。
  擬似宗教や霊の世界でうごめく人々を全否定する気はありませんが、そのような世界観を持ち込まなくとも、気に関する説明を合理的にできますし、病気も治ります。
  なお、気についての(科学的&医学的)説明は、本論とは直接関係がありませんので(きわめて有益であると信じていますが)、ここでは省略します。

脳のまとめ

  老化の鍵は視床下部にあるように思いますが、この視床下部を含む間脳、脳幹、小脳、さらに松果体、この器官が一体となって体の健康維持に大きな役割を果たしています。

   老化(健康)を制御する中枢?: 間脳(視床)、脳幹、小脳、(松果体)

  一般に認識されることのない部位ですが、ここに生命活動の中枢があります。

第3の眼

腸は独立した脳

  体内という言葉がありますが、基本的に喉より内側、肛門より内側は体内と考えてよいでしょう。
  しかし、喉から肛門までは空洞になっています。対外から物質を取り入れ、体外に排泄する一連の流れの中で、この空洞(消化管)は外界とつながっています。
  消化管: 咽頭(いんとう) → 食道 → 胃 → 小腸 → 大腸
  従って、この空洞(消化管)は体外と考えることができます。
  物質交換という意味での内と外を分ける壁は小腸です。
  小腸には小さな穴がたくさんあり、そこから物質が取り込まれ、門脈という静脈を通って肝臓に運ばれます。
  従って、小腸は外敵が侵入し易いところですので、最強の免疫システムに守られています。
  また、小腸に来る前に、胃の殺菌室(胃液)で多くの細菌やウイルスは死滅させられます。
  胃液を生き延びた病原体には、小腸粘膜のすぐ下にパイエル板というリンパ節があり、そのパイエル板の下には腸管膜リンパ節の壁があります。
  このように、小腸は外界と物質交換を行う要(かなめ)の臓器ですので、特別な位置づけにあり、特別な防御体制がしかれています。
  もともと、人間は、ヒドラやイソギンチャクのような腸に口がついただけのような生き物から進化してきました。
  10億年近い年月をかけて、各臓器は腸から分化して発達してきました。
  いいかえれば、小腸はすべての臓器の母であり、大変偉い存在なのです。
  どのくらい偉いかといいますと、以下に記すくらい偉いのです。

   1.小腸にはおよそ1億個の神経細胞があり、独立した脳を持っています。
     (脳と独立した自律神経である腸管神経があります。)
   2.たとえ脳が死んでも、小腸は動いています(脳から独立した器官)。
   3.各臓器は小腸から生まれました(小腸は臓器の母)。
   4.従って、すい臓や胆嚢(たんのう)に命令できます。
   5.人体最強の免疫器官を備えており、がんになることはまれです(腸管免疫)。
   6.大腸を含めるとおよそ100兆個の細菌を養っています(腸内菌にとって、腸は地球です)。
   7.腸は、健康維持のために腸内細菌を管理しています(後に説明)。
   8.小腸は養分を吸い上げる生命力の源腸は植物の根っこに相当)。
   9.言い換えれば、小腸はエネルギーの源であり、丹田(たんでん)です。
   10.栄養を吸収する腸管が免疫獲得の機能を持っています。
     (要するに、小腸は、消化、吸収、免疫の中枢です。)
  世間では、うんちとの連想で、腸に対してよいイメージがなく、おそらく汚い臓器という印象があると思いますが、小腸は体の主(ぬし)、お局(つぼね)様なのです。

腸は老化に関係?

  以上、小腸は、脳と独立した神経系(第2の脳)をもち、間脳・脳幹や小脳と同じように、体内を制御しています(体内制御をしている内蔵の脳)。
  従って、小腸の機能低下は、他の臓器に大きな影響を与える可能性があります。
  最初の小腸である十二指腸には細菌はいませんが、下に行くほど細菌の数は増えます。
  腸内には、善玉菌と悪玉菌が存在しますが、腸の機能が低下すると悪玉菌が増え、他の臓器に影響を与えます。
  たとえば、肥満になると、腸内で特定の細菌が増え、肝臓の細胞を老化させて、肝臓がんを発症させることが動物実験で分かっています。
  そのメカニズムは次のようになります。
   まず、肥満すると特定の細菌が増えます。
   その細菌が、胆汁成分を細胞を老化させる物質に変化させ、これが肝臓に取り込まれます。
   この物質によって、老化した細胞が発がんを促すタンパク質を周囲に分泌します。
   このタンパク質によって、周囲にがん細胞が発生します。
腸内細菌   一般に、善玉菌(ビフィズス菌など)は、腸内を発酵(糖類などが分解し有益な物質を作り出すこと)させ、悪玉菌(ウォルシュ菌や大腸菌など)は、腸内を腐敗(タンパク質が分解して有害な物質ができること)させます。
  したがって、腸が正常であれば、腸内は発酵状態にあり、ビタミンB群やビタミンK、さらにタンパク質などがつくられます。
  逆に、不調であれば、腸内は腐敗状態になり、アンモニアや硫化水素などの有害物質が作られ、各臓器に悪影響を及ぼします。
  これらのことから、腸は体内細菌を管理し、活用しているのではないかという推測ができます。
  つまり、体内細胞と同じく、体内生物を生体の機能維持に活用している可能性があります。
  たとえば、パプア・ニューギニア北部では、人々の腸内細菌の状態は、人間よりはウシに近く、草食性であるにもかかわらず、腸内細菌によって、タンパク質に変えられていると考えられます。
  風邪や肺炎のウイルスや菌は、誰でも持っています。にもかかわらず、特定の人しか発症しません。
  発症する人は、体による体内生物の管理能力が低下したか、(発熱などによって)体の不具合を修正するために、一部の(菌やウイルスの)増殖を促したからではないかと考えています。
  従って、小腸の機能低下は、体の機能維持のバランスを壊し、老化を促進する可能性があります。
  また、(植物の根の役割を果たす)小腸は生命の土台、生命力やエネルギーの源です。ここに、小腸の重要性があります。
  気の技法は、すべからく丹田を重視しますが、それはエネルギーの源としての小腸を重視していることを意味します。
  なお、小腸は、十二指腸、空腸、回腸の3つの腸からなる、長さ3m程度(死ぬと2倍に伸びます)の消化管です。

小腸のまとめ

  小腸は(間脳・脳幹や小腸と同じく、)生命活動を支える脳です。
  腸は、細菌群を人体バランスを整えるために利用しています(細菌にとって、腸は宇宙船地球号
  小腸は、エネルギーや生命力の源です(小腸は人体の根・根幹・土台)。
  従って、視床下部などと同じように、小腸の機能低下は、老化を促進させる可能性があります。
  レイキ(気)になじんでいると、小腸(丹田)の偉大さが本当に良く分かるようになります(実感します)。

   老化(健康)を制御する中枢?: 間脳(視床)、脳幹、小脳、(松果体)小腸

第3の眼

*1) 本来、心臓の停止が人の死という認識は、万国共通でした。
  したがって、医学的に死を定義することはあまり意味がなく、脳死にも意味がありませんでした。
  しかし、人工呼吸器で脳が停止しても、心肺機能を生かすことができるようになると、死の定義が複雑になりました。
  通常、死は、肺機能の停止 ⇒ 心臓機能の停止 ⇒ 脳機能の停止 の経過を経ます。
  そのため、医師が死亡を確認する場合、呼吸(肺)、脈拍(心臓)、対光反射(脳)の消失を確認します。

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