トルーレイキ法

 

福田−安保理論と自律神経

2011年08月24日

  自律神経は、野口晴哉先生の時代から引用されていましたが、代替医療分野で自律神経が脚光を浴びるようになった最大の要因は、福田−安保理論です。
  なお、安保は「アポ(Apo)」ではなく「アボ(Abo)」と読みます。表紙にわざわざ、「あぽとおる」と振り仮名をつけた本がありますので、勘違いする人が多いのですが、その本は、当人などにインタビューして、覆面ライターが書いた本であろうことを示しているだけです。この分野では、表示されている著者と実際に書いた人が一致する本は意外と多くはありません。

福田−安保理論(フクダ−アボ リロン)

  病気は、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに行かなくなって免疫が低下することによって起こり、交感神経と副交感神経を整える(活性化する)ことで免疫を高めて病気を治すことができます。
  これを福田−安保理論といいます(彼ら自身がそのように呼んでいます)。

原文

  「自律神経のバランスがくずれることによって免疫が低下して発病し、自律神経のバランスを整えることで免疫を高めて病気を治すことができるという理論です。」

  大変、簡単、明瞭な考えですが、この理論によって多くの病気の原因が分かり、分類できるようになりました。免疫学に、新たな見方を与えてくれたといって良いでしょう。

  ただ、彼らの多数の著書を読んで気になるのは、「ストレスが万病の元」という考え方です。ある意味では正しいとは思いますが、大変誤解を招きやすい表現ですし、適切ではないように思います。
  というのは、「ストレス(刺激)は人間の生存にとって不可欠」だからです。だからこそ、交感神経があります。熟年以降、特に定年をむかえた人々にとって、適度のストレスがなければ、すぐに惚けて新たな世界に旅立つことになるでしょう。(職に就いている人でも、仕事が余りなさそうな方の場合、40代以上で惚けている人は少なくありません。程度の問題ですが、地位の高い公務員や大学の教員などに特に多いように思います。)
  元気な高齢者の方は、姿勢が良くシャキッとしています。ストレス(刺激)がなければ、シャキッとならないはずです。

  ストレスが病気を招くのではなく、過剰なストレスを持続させること(慢性ストレス)が病気を招くということをご理解下さい。

  言い換えますと、昼間、過緊張状態にあっても、夜、熟睡できれば問題ありません。夜の間に、傷ついた細胞の修復がキチンとなされるかどうかが鍵です。

  自律神経のバランスとは、毎日、交感神経優位の状態と副交感神経優位の状態の切り替えがスムーズになされているという意味です。

  交感神経が活性化しなければ(ストレスがなければ)、副交感神経も活性化しません。どちらも不活性な状態で自律神経がバランスされても意味がありません。どちらも活性化し、相互に切り替わることのできる状態にあることが重要なのです。

  過剰なストレスとは、交感神経の緊張を持続させるストレスの意味ですが、個人によって違います。神経質な人の場合、些細なことをいつまでもストレスとして溜め込みます。普通の人にとって、子守歌程度にしか聞こえない車などの騒音でも、その騒音で眠れない人にとっては過剰なストレスになります。ストレスをストレスと感じるかどうかが問題ですから、精神的な要素が大きいと言えます。本来、ストレスには、肉体的なストレスなど様々なストレスがありますが、精神的なストレスが付加される場合が少なくありません。

  「病は気から」という言葉がありますが、実に的を射た表現です。

  また、免疫の視点では、顆粒球とリンパ球のバランスが重要になります。

  なお、安保先生は、この理論に限らず、面白いアイデアを数多く出されている大変優れた研究者で、医学分野では極めて珍しい存在だろうと思います。このような人が何人かいれば、医学の世界も非常に面白くなることが期待できるのですが。

自律神経(確認事項)

  体内調整を自律神経が制御している以上、自律神経と無関係な病気はありません

  交感神経が緊張すると、血管は狭まり、血圧・脈が上がります。緊張しすぎると、顆粒球が過剰になり、組織破壊の病気が起こります。顆粒球は大型の細胞で、体内を常に巡回し、細菌やウイルスなどの外敵を見つけると、細菌やウィルスを食い殺す白血球です。組織に炎症が起きるとおよそ2〜3時間で2倍に増えます。

  副交感神経が緊張すると、血管が開いて血流が増加します。副交感神経が緊張しすぎると、血管が開き過ぎて血圧が逆に低下します。リンパ球が増えてアレルギー疾患を招きます。リンパ球は小型の細胞で、抗原に出会うと形質細胞になるBリンパ球と細胞性免疫に関与するTリンパ球があります。Tリンパ球は、骨髄生まれですが、胸腺で教育された精鋭(エリート)細胞です。

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