レイキと老化

 

健康教室 内臓の老化

2013年07月05日
2013年07月24日文献追加

老化とは

  ここまで、老化について腎臓病(糖尿病)とミトコンドリア活性が大きな影響を与えていることを説明しました。本欄では、もう少し広い範囲で老化を説明します。
  まず、老化の意味ですが、ここでは、「老化を時間経過につれて生理機能が衰えること」と定義します。
  そして、老化には生理的老化と病的老化があり、生理的老化は、テロメア短縮などによる細胞老化などの生体に内臓された(プログラムされた)老化であり、病的老化は病気によって進行する老化です。
  私たちは、生理的老化によってではなく、病的老化によって死亡しています。ここには例外がありません。この1世紀の間に何十億人もの方が亡くなっていますが、115歳以上生きた人は数えるほどしかいません。宝くじに当たる確率よりも、一桁も二桁も低い確率です。このような小さな確率を例外に含める必要はありません。しかも、115歳以上で亡くなられた方も病死である可能性があります。先日、116歳で亡くなられた木村次郎右衛門氏は病死と考えて良いでしょう。
  生物学的には、「老化は、時間経過とともに不可逆に進行する形態的、生理的な生態の衰退現象である。」と定義されますが、私たちの老化が主として病的老化によるのであれば、老化は回復可能であり、ある程度老化の速度を遅くすることも可能なはずです。その意味では、私たちが経験している老化は、必ずしも不可逆的な生理現象とは言えません。従って、ここで定義している老化には、不可逆的という言葉を省いています。

   レイキと老化

老人は老化コースの新人(進級できる人は希)

  昔、お年寄りの方達から聞いた話に、
  「60歳代になると一気に身体が衰えた感じがした」、
  「60歳、70歳位までは衰えた感じがしなかったが、80歳代になると全く別の身体になった(衰えた)」、
  「100歳を超えるまでは、特に身体が衰えた感じはしなかったが、100を超えた辺りから、
   急に身体の衰えを感じるようになった」(これは何かで読んだ話です)
などがあります(少し記憶があいまいです)。
  このように、老化に関して人の感じ方(経験)は様々です。しかし、多くの方は、内蔵の老化(衰え)が、想像以上に急速に進むことを理解していないように思います。
  この認識のずれは非常に大きく、また深刻です。年をとれば、頭も身体(体力)も機能低下する実感があり、衰え(老化)を感じるでしょうが、脳や筋肉の衰えよりも、内臓の衰えは遙かに早いのです。もちろん、脳や筋肉の衰えに大きな個人差があるように、内臓の衰えにも大きな個人差があるはずです。ただ、このことを理解していない老人は簡単に病気なり、また簡単に帰らぬ人になってしまいます。
  私たちが老化していく過程で遭遇する事柄は、私たちにとって常に初体験であり、常に未知との遭遇になります。その意味では、老人は、老化の過程では、常に新人であると言って良いでしょう。普通、ベテランになることはありません。
  したがって、加齢とともに私たちの臓器などがどのように衰えていくのかを知っていれば、若いころと同じような食事量や飲酒量を続けることが無謀な行為であることを理解できるはずです。繰り返しますが、私たちは年をとると体が縮み、運動能力が低下します。しかし、体の縮みはごくわずかですので、内臓がどれほど縮んでいるのか知りません。実際的な内蔵の機能低下についてはなおのことです。
  大事なことは、「老化を知り、己を知らば、百病恐るべからず。」ということです。   

老化の本質は内臓の老化

  老化は、臓器の機能低下と密接な関係があります。とりわけ、副腎と腎臓の機能低下が老化を早めます。
  臓器の老化(機能低下)は西洋医学では改善できませんが、トルーレイキ療法では劣化した臓器の機能を年齢相応に快復させられます

加齢による内臓の変化

  老化によって肉体に生じる顕著な変化は、体細胞数の減少と細胞機能の低下です。したがって、高齢になるにつれて体は小さくなり、各種機能が衰えてきます。なお、老人になるにつれて体は縮んできますが、頭は大きくなって(膨らんで)いきます。これは、おそらく、頭の水分が増え、頭が膨張していくからだろうと思います。長い時間をかけてゆっくり膨張するために、脳に特別な圧力がかからず、自然に大きくなっていくようです。

各臓器の体重に対する割合
重量変化とレイキ

  内臓の加齢変化を考える場合、機能変化が本質的な問題ですが、最初に各内臓の重量変化を確認しておきます。
  表1は、男女別高齢者の各臓器の重さの体重比を千倍した数値を載せています。*1)
  この表から、脳と心臓は、加齢による影響がほとんど見られません。
  また、脾臓(ひぞう)の減少が著しいですが、腎臓と肝臓もかなり減少します。
  女性は男性に比べて腎臓の減少率が緩やかであり、脾臓も80歳代半ばまでは緩やかに減少します。
  脳と心臓は、重量比で見れば、女性は高齢化とともに増えています(機能的には低下しています)。特に心臓は、(老化とともに血圧が上がるために)負担が増え、肥大化する傾向があります。
  いずれも、体重に占める比率になっていますので、相対的に増えているように見える場合もありますが、絶対値としては、すべての臓器は縮小しています。

成人の臓器を100としたときの高齢者の臓器の重さ(%)
臓器とレイキ

  次に、成人の臓器を基準にした高齢者の臓器の比率を右表に示します。*2)各数値は成人に対する比率(%)ですが、肝臓や腎臓が縮退していくことがよくわかると思います。なお、各臓器の縮退率は、文献によって大きく異なります。
 脾臓(ひぞう)はさらに急速に縮退していきますが、脾臓は血液の貯蔵庫であり、古くなった赤血球を廃棄する役割があります。さらに、免疫細胞を作っていることも分かってきました。西洋医学では、これまでこの臓器を非常に軽視してきましたが、大変重要な臓器です。
  同じく免疫器官である胸腺(きょうせん)の減少は飛びぬけていますが、高齢者の胸腺は余り意味のあるものとも思えません。老人では、胸腺は、臓器というより胸腺の痕跡(こんせき)に近い存在になっています。なお、胸腺の役割は免疫細胞の教育です(免疫細胞教育機関)。

各種生理機能の加齢に伴う低下
生理機能とレイキ

  以上、加齢に伴って主要臓器が縮小することを確認しましたが、それ以上に重要なことは、各臓器の機能低下の割合です。臓器が小さくなっても機能の低下が起こらなければ、心配する必要はありません。ところが、臓器によっては、この機能低下が非常に問題になります。
  右(上)の表を見てください。各生理機能を年齢別に表示しています。*3)30歳の生理機能を100とした時の数値です。
  神経の伝達速度や基礎代謝量、細胞含水率は、年齢によって大きく低下するわけではありません。しかし、基礎代謝量の減少には注意が必要です。たとえば、50歳や60歳でも30歳の90%前後の基礎代謝量があります。しかし、30歳の基礎代謝量には、もっと増やせる予備(ゆとり)がありますが、50歳、60歳では、そのゆとりがありません。したがって、見かけ以上に基礎代謝量は落ちています。
  次に、心係数(体表面積1m2当りの心臓の毎分の血流拍出量)ですが、これは心臓の能力を表していると考えられます。心臓組織量の年齢による変化は小さいですが、年齢とともに機能はかなり減少することが分かります。
  さらに、肺の機能低下にも驚かされます。肺活量はおなじみのものですが、最大換気量は、1分間に肺の中の空気を入れ替えられる容量を測定した数値ですので、これも肺の機能低下を調べるのに有効な量になります。これらの値を見る限り、肺の老化(機能低下)は著しいといわざるを得ません。
  最後に、腎血漿流量(じんけっしょうりゅうりょう)ですが、これは、腎臓を流れる。単位時間当たりの血漿量ですので、腎臓の機能を表すのによく使われます。この表から、老化とともに腎臓の機能が急速に劣化していくことがよく分かると思います。
  このように生理的機能の老化は臓器の縮退より著しい傾向がありますが、個人差が大きいため上記の機能低下は、一例と考えたほうがよいだろうと思います。また、肺の機能低下が顕著ですが、これは喫煙と関係があるのかどうか、喫煙者の割合もはっきりしていませんのであいまいさが残ります。ただ、胸式呼吸は、肺の一部(肺上部)しか使わない呼吸法ですので、加齢とともに顕著な機能低下を生じても不思議ではありません。
  いずれにせよ、老人がこのような生理機能の老化を理解していれば、ベテランの老人になることが期待できます。
  少なくとも、若いときと同じ食事量を維持することの不自然さをご理解いただけると思います。

各臓器の老化によって生じる症状

  最後に、各臓器の機能が劣化するとどのような症状を生じるのか、まとめておきます。

血管・リンパ管の老化
  血管の老化は、高血圧、がん、心臓疾患、脳疾患など深刻な病に直結します。
  血管・リンパ管は、組織細胞に酸素と栄養を送るだけではなく、ホルモンや免疫細胞も送るライフラインです。同時に、老廃物などの不要物を対外に排出する通路になっています。
  血管には、動脈、静脈、毛細血管の3種類がありますが、一般に血管の老化は動脈の老化(動脈硬化)を意味します。そして、動脈硬化には、
  1.血管の弾力がなくなる(血管細胞の老化や課緊張状態の持続が原因)
  2.血管が硬くなる    (血管壁のカルシウム蓄積が原因)
  3.血管壁が厚く・細くなる(血管内部へのコレステロールなどの付着・マクロファージの集合が原因)
の3つの場合があります。

免疫機構の老化
  免疫機構には、生まれたときから備わっている免疫機構(非特異的免疫)と、生まれてから獲得する(以前排除したものを排除する)免疫機構(特異的免疫)があります。
  免疫機構の老化は、生まれてから獲得する特異的免疫機構(胸腺)で起こります
  そのため。インフルエンザなどのウイルス感染に対して抵抗力が弱くなります。
  また、自己と異物の区別がつかなくなる自己免疫疾患にかかりやすくなります。慢性関節リウマチなどがその例です。

ホルモン分泌の老化
  加齢に伴って変化するものにホルモン分泌の量と質の変化があります。
  内分泌腺(ホルモン分泌腺)の機能が低下すると、当然起こる現象です。主な内分泌腺として、性腺、副腎、甲状腺、松果体などがあります。
  女性の更年期障害は、閉経による女性ホルモンの減少と関係があります。
  DHEA(-S)は各種ホルモンの原料となる大変重要な万能ホルモンですが、これは主に副腎で作られます。従って、副腎の機能低下は、老化と深い関わりがあるはずです。
  ホルモンは、体内の特定の機能を正常に維持するために必要な物質ですので、その減少は、多くの場合、老化につながります。

骨の老化
  骨が老化すると骨密度が減少し、ひどくなると骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になります。また、造血作用が衰えます。
  一般に、腎臓が老化すると骨や歯がもろくなりますが、特に、年配の女性で骨粗鬆症が多いのは、女性ホルモンが減少するためです。
  女性ホルモンであるエストロゲンは骨のカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きがありますが、閉経前後から、エストロゲンの分泌量が低下していきますので、骨密度が減少していきます。
  ちなみに、人は40歳を過ぎると、毎年1mm程度ずつ身長が減少します(10年で1cm程度)

皮膚の老化
  皮膚は表面にある表皮と内部にある真皮(しんぴ)に分かれますが、皮膚が老化すると、表皮の一番下にある基底細胞の新細胞を作る速度が遅くなり、皮膚の入れ換わりが遅くなります(しわ。タルミなど、肌が衰えてきます)。
  また、皮膚の入れ換わり(基底細胞の新陳代謝)が遅くなると、紫外線を遮蔽するメラニン色素を排泄する(皮膚表面に押し上げる)能力が衰えますので、シミ・ソバカスなどができることもあります。

筋肉の老化
  筋肉は、30歳以降、毎年、1〜2%ずつ減少し、60歳以降、毎年10%ずつ以上減少します。
  また、筋肉には血中の糖分をグリコーゲンとして蓄えています。
  したがって、筋肉が老化すると(筋肉が減少すると)、糖分を吸収する能力が衰えますので、糖尿病などになりやすくなります

胃・小腸・大腸の老化
  これらが老化すると、蠕動運動(ぜんどううんどう)が鈍り、胃液や消化酵素の分泌低下などが生じますので、吸収力と排泄力の低下、便秘、腸閉塞(ちょうへいそく)、胃もたれ、食欲減退、逆流性食道炎、ピロリ菌の繁殖、さらには胃潰瘍、大腸がん、胃がんなどの危険性が高まります。

肝臓の老化
  肝臓は、解毒、貯蔵、代謝、合成、排泄などを行う、きわめて重要な臓器であり、再生能力もあります。
  具体的には、胆汁を分泌して脂肪を消化、分解し、血糖値を調整します。また、たんぱく質、炭水化物、脂質をエネルギーとして蓄えたり、消費したりします。さらには、有害物質の解毒排出など、およそ2000種にも及び化学反応を行っています。
  肝臓は能力的なゆとりを持っていますが、酷使すると機能低下を起こします。
  肝臓を悪くする要因として、過度のアルコール飲酒や過度の薬剤依存がありますが、肝臓の天敵は肝炎ウイルスです。
  日本人の肝炎の80%は、A,B,C型肝炎ウイルスによる感染ですが、A型肝炎は急性肝炎になりますが、慢性化することはありません。
  B型肝炎とC型肝炎は慢性肝炎を生じる場合が多くなり、肝硬変や肝がんへ移行する危険性があります。B型肝炎は劇症肝炎になる場合も多いのですが、大人になって感染した場合は慢性肝炎になることはありません(B型肝炎は基本的に母子感染です)。
  慢性肝炎の約60%はC型で、肝臓がんの約8割はC型肝炎から発症しています(日本の場合)。
  肝臓が老化すると、たんぱく質の消化分解能力の低下、体力や気力の減退、肝炎、肝硬変、さらには肝臓がんの危険性が出てきます。

膵臓(すいぞう)の老化
  すい臓には、インスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌して血糖値を調整したり(内分泌機能)、すい液(消化酵素)を放出して、たんぱく質などの栄養素を分解する働き(外分泌機能)があります。
 すい臓が老化すると、糖の消化分解能力の低下、肥満(糖尿病が悪化すると体重減少)、すい炎や糖尿病、さらにはすい臓がんの危険性が高まります。

腎臓の老化
  腎臓は、肝臓同様、きわめて重要な臓器ですから、腎臓は左右、合わせて2個あり、余裕を持っています。しかし、上で見てきたように、30歳以降、その機能は徐々に衰えます。
  腎臓は冷えに弱い臓器ですので、下半身(特に足先)が冷え気味の人は、腎臓の老化が顕著になります。
  また、糖尿病は、腎機能を急速に低下させます。言い換えますと、腎臓の天敵は糖尿病になります。
  すでに説明しましたように、腎臓の機能低下は、体全体に及びます(老化を促進します)。


*1) 老いと健康、吉川政巳 著、1990年、p11 表1-2より引用

*2) 老いと健康、吉川政巳 著、1990年、p10 表1-1より引用

*3) 老化のバイオサイエンス-、 香川靖雄 著、1996年、p25 図1-9のグラフを数値化

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