トルーレイキ法

 

レイキ法雑感 - 呼吸法

 

呼吸法

  気・レイキについて最初に書くとすれば、やはり呼吸法になります。特に、腹式呼吸です。レイキ法においても腹式呼吸が基本訓練で行われてきましたが、あまり理解されていないように思います。

  一つには、戦前には腹式呼吸はよく知られた呼吸法であり、霊術では当たり前の呼吸法でしたので、わざわざ腹式呼吸という言葉を使う必要がなかったことが原因だろうと思います。

  もう一つは、レイキ法の鍛錬の一つである合掌呼吸法が腹式呼吸の訓練であることを理解されていないからではないかと考えています。あるいは、合掌呼吸法は訓練(発霊)のための呼吸法であって、手当などのときには、する必要がないと誤解しているからかもしれません。

  しかし、訓練の時と手当などの実地の時で呼吸法が異なるならば、訓練の意味はありません。繰り返しになりますが、実地の時がなくなったことが、現代のレイキ法を歪める原因になっています。

呼吸

  人間は、1分間に15回前後呼吸するとすれば、1年でおよそ800万回、一生の間に6.5億回ほど呼吸をする計算になります。*1)心臓の鼓動*2)と同じく、死ぬまで(数分以上)止めることができません。呼吸がこれほど生命活動に深く関わっているのであれば、健康や寿命が呼吸の仕方に影響されることが予想できるでしょう。

  そして、心臓の鼓動の仕方は意志で継続的に変えることはできませんが、呼吸は意志によって継続的に変えることができます。ここに、呼吸法の真の重要性があります。

  このような考えが根底にあったのであろうと思いますが、明治末期から、岡田虎二郎(1872〜1920)の「岡田式静座法」、藤田霊齋ふじたれいさい(1868年〜1957年)の「藤田式息心調和法」、江間俊一えましゅんいち(1861年〜1933年)の「江間式心身鍛錬法(気合い術)」など、多くの優れた呼吸法が発表、提唱され、広く知られるようになりました。基本は、逆腹式呼吸法(息を吸うときに腹をへこませ、息を吐くときに腹をふくらませる呼吸法)です。健康法として、当時の日本でブームを巻き起こしました。

  これらの呼吸法には日本人のみならず、当時の中国人留学生達も興味を持ち、帰国後、自分たちの手法を発展させていきました。*3)彼らは、岡田等の呼吸法に魅力を感じただけではなく、中国では秘伝とされるようなものが、日本では一般に公開され、民衆の健康法として活用されていることに感銘を受けたようです。第二次大戦後、共産中国で、気功として統一され、それが保護、発展してきたのもこの呼吸法や霊術の価値を理解した留学生達が革命政府の要人たちに多数いたからだと考えられています。*4)そして、国家の後押しがあるとはいえ、当時の日本よりも遙かに多くの人々が、健康法として気功を活用しています。

  ちなみに、江間俊一氏の娘さんが女優の青木しのぶさん、その娘さんが女優の小桜葉子さんですので、そのご長男の加山雄三氏は江間俊一氏の曾孫になります。


*1) 人間は(多分、ほ乳動物はすべて)、生まれて初めて息を吐き出したときから、呼吸を始めます。オギャーと泣くのは息を吐いているのであって、息を吸うときに声は出ません。逆に死が近づくと、息がどんどん上に上がり、鼻で息をするようになります。そして、最後に息を吸って亡くなります。息を吐いて亡くなることはありません。吐くエネルギーが残っていれば、自然にもう一度吸えるからです(鼻で息をする状態では、吐くために必要なエネルギーの方が大きい)。だからこそ、「亡くなる」ことを日本語で「息を引き取る」といいます。(胸や腹を膨らませる呼吸では、吸うときに大きなエネルギーが必要です。)
  外国人の書いたSF小説に「息を吐いたまま亡くなった」という表現がありましたが、日本人作家には、決してしてほしくない間違いです。
  要するに、人はこの世に生まれたとき、最初にすることは息を吐くことであり、最後にすることは息を吸うことです

*2) 人間の場合、心臓の鼓動は1分間に60回〜90回位ですから、80歳まで生きるとすると、25億回〜38億回位になります。平均鼓動回数が1分間に70回とすれば、一生の間に心臓が鼓動する回数は約30億回になります。
  ちなみに、ハムスターは1分間に300〜600回、寿命は2,3年、象は1分間に22〜28回、寿命は70年程度です。どちらも、一生の間に心臓が鼓動する回数は、10億回未満になります。他の動物でも、身体の大きさに関係なく大体10億回未満です。人間だけが飛び抜けています(約3倍)。恐らく、鳥類にも10億回を大きく超える種がいるのではないかと考えています。(鳥類は、一般に長寿の傾向があります。)

*3) 手当療法(復刻版)、足助次郎 著、大盛堂書店出版部、昭和55年(復刻版2004年)

*4) 癒しを生きた人々 田邊信太郎、島薗進、弓山達也 編 専修大学出版局 1999年10月20日発行

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