臼井霊気療法学会の変質 |
では、臼井霊気療法学会はどうでしょうか。臼井霊気療法は、その名が示すごとく病気治療が目的でしたが、臼井先生は病人の意識を変えないと根治は難しいことを悟り、五戒*1)という技術を工夫されました。五戒の内容自体は、健全の原理(鈴木美山著)からの引用(ほとんど同じです)だろうと思われますが、五戒の方法は、治療方法同様、当時としては画期的な技法です。残念ながら五戒の使用方法は、現在では全く理解されていません。その原因は、臼井霊気療法学会にあると言って良いでしょう。
本来、臼井霊気療法の伝統を維持すべき臼井霊気療法学会は、二代目牛田会長に引き継がれてから、臼井先生の教えである一般公開の方針に背き、秘密伝授になりました。つまり、一部のエリートを中心に高額の謝礼を取って教え、病気治療のような労働対価の低い仕事をしなくなったのです。*2)
そのため、脱会者が続出し、病気治療は学会を脱退した富田魁二、江口俊博、林忠次郎氏等によって続けられ、技術の研鑽が行われました。その結果、会員総数も戦前には百万人を超えたといわれています(タナスエの道)。臼井先生直伝の技と精神は彼らによってのみ伝承されました。一方、臼井霊気療法学会は、特定のエリートを対象にしていましたので、会員は、極めて少数(最大時で数千人規模)にとどまり、二代目会長の時代から、大幅に減少していきました。
今日、臼井霊気療法学会の会員が少なかったのは臼井先生の教えを守って宣伝しなかったからだという大変奇妙な言い訳をする人もいますが、実態とあまりにもかけ離れています。
臼井霊気療法学会の脱退者達が、百万人以上もの会員を集めた最大の理由は、彼らが病人を治したからに他なりません。だからこそ人が集まったのです。つまり、病気を治す技術を持っていたからです。病気を治すという実際的な御利益がなければ、たかだか20年位で、とても100万人も集まらなかったでしょう。
残念ながら、本来の臼井霊気療法には優れた療治技術があることを理解できなければ、このような現象は全く想像できないことかも知れません。そもそも、なぜ脱会者が続出したのかを考えれば、自明のことです。
また、非公開(秘密伝授)にすれば、会員が少ないのは当たり前でしょう。宣伝の有無以前の問題です。
臼井先生の臼井霊気療法とその後の臼井霊気療法学会の実態について、多くの誤解があるように思いますが、その中には非常に意図的で不誠実な部分があることを感じざるをえません。
臼井霊気療法学会が、実態として、治療に消極的になったことの最大の問題点は、一部エリート達の同好会になったことではなく、(それも問題ですが)結果として、臼井霊気療法の本質的な技術が失われたことにあります。そのことは、同会の発行している霊気療法のしおりに書かれてある臼井霊気療法の説明を読めば、(大変悲しいことですが)よく分かります。
また、小山会長の時代に多数の会員を入れたことにより、そのような学会員が私たちと接触する機会が増えました。臼井霊気療法学会が臼井霊気療法の本質を継承していない以上、当然のことではありますが、彼ら学会員達の霊気療法に関する認識・技術が、西洋レイキ法と同じようなレベルであることを感じざるを得ません。
「何も考えずに、ぽかーんとして手を当てればよい」などという説明は、臼井霊気療法を理解していない典型的な例です。そのようなことは、猿山のボス猿か親猿が小猿にしている原始的な手当に過ぎません。すでに、富田魁二先生が、天王寺動物園で小猿に「ぽかーんとして手を当てる」猿を目撃しておられます。それが間違っているというわけではありませんが、霊術の一種である霊気療法の本質に対する理解が欠落しています。
同じようなことは、野口療法(整体)でも考えられます。野口先生は、大変優れた霊術家であったと思われますが、そこに留まることなく、霊術以外の多くの手法を取り入れ、独自の工夫を凝らして野口療法(整体)という比類無き療法を考案されました。しかしながら、幾ら治療してもきりがなく、また、自分亡き後の心配をされて、後年、病気にならないようにすること、つまり健康維持に力点を移されました。それが活元運動です。従って、野口療法(整体)は治療ではなく、健康を維持する方法であり*3)、活元運動のことであるといっても決して間違いではありません。しかし、野口療法(整体)の素晴らしい技術体系を活元運動だけに絞り込むのはあまりにも寂しすぎます。
現在、教えられているレイキ法は、丁度、野口療法(整体)として活元運動を教えられるのと同じようなものといえるでしょう。もし、野口先生の著作が無く、極めて少数のお弟子さん達の普及活動がなかったならば、私たちは、野口療法(整体)は活元運動であると説明されても疑問は持たなかったでしょう。
不幸にして、臼井先生は、野口先生のような著述を残されなかったので、習う人々は、何を言われても信じざるを得ませんでした。
また、一般整体を学び、それで治療してきた人が、野口療法(整体)を学んだ場合にも、往々にして似たようなことが言えます。輸気を局所に手や指を当てるだけの基礎技術と勘違いしている人が多いからです(その水準から抜け出せず、気の効果のすばらしさを知る段階に至っていません)。残念ながら、彼らも野口療法(整体)の本質を理解しているとは言えません。
臼井霊気療法学会の目指しているものが本来の臼井霊気療法と異なる以上、伝統霊気と言う言葉は、意味をなしません。現状では、「伝統霊気という言葉は意味不明」なのです。
一方、西洋レイキ法は、最初から表面的なこと、つまり、お手当の技術として広がりました。高田先生は、臼井霊気療法を良く理解し、実践されておられたはずですが、英語圏の人々に臼井霊気療法を、そのまま教えることに困難を感じたのではないでしょうか(実際、そのまま教えるのは先ず不可能でしょう)。病気治療に対する法の壁への懸念もあったのかも知れません。
さらに、高田先生の死後、西洋レイキ法は、ヨーガやヒーリングなどの概念を取り入れ、臼井霊気療法とは、概念的にも、手法的にも全く関係のない手法になってしまいました。
従いまして、臼井霊気療法の技術を教えられる所は、現在では、存在しないと言い切って良いでしょう。
ここに、本サイトを開いた大きな理由があります。
1) 五戒は、単なるお題目ではなく、意識変革を起こす技術です。
後に、説明する予定ですが、一般に流布しているお題目としての五戒には霊気療法としての利用価値はありません(十戒と五十歩百歩でしょう)。
2) 高田ハワヨ先生が、一万ドルで教えておられたのは、日本での報酬が念頭にあったと考えてよいでしょう。このことから、臼井霊気療法学会が如何に高額の謝礼を取っていたか想像がつくと思います。当時は、謝礼による儲けで大きな屋敷を建てることができました。
3) 野口先生は治療ではなく指導という言葉を使われていました。野口療法(整体)で行われるのは、整体指導であって、治療と共にそのような病気にならない身体にする指導を行います。根幹はこの指導にあります。