骨盤の動きと出生率 |
出生率低下の原因
一般に、出生率が上がったり下がったりするのは、当然のことで、上がり放しであれば食糧の需給バランスが崩れますから国が崩壊します。お隣の中国は、王朝が変わるたびに人口が6,7割前後に減少するような変動を繰り返してきました。
一方、日本の人口は、停滞期であった江戸時代を除いて、ずっと右上がりでしたが、他国のように人口が爆発的に増加した時代はないようです。
明治維新から1960年代まで、日本の人口は50年ごとに2倍になってきましたので、明治の始めに3千万人ほどであった人口が100年後に1億2千万人ほどに増えました。これだけ急速に人口が増えたのですから、人口が減少することがあっても当然の流れといえるかもしれません。ただ、現在の出生率の低下は異常です。
日本の人口を維持するには、出生率が2.07程度必要ですが、現在は、常に1.40を割り込んでいます。もっと緩やかな減少であれば、対応も容易で弊害も少ないでしょうが、このままでは、まもなく急速に人口が減少していく時代になり、若者より、老人の方がはるかに多い、厳しい時代を迎えることになります。
現在の出生率低下の原因を調べてみると、未婚率の増加に行き着きます。
少子化の原因として考えられることは、
1.夫婦の出産数の低下(晩婚化)
2.結婚率の低下
の2点ですが、下表から分かるように、1975年から2010年までの出生率は、1.91から1.39と大幅に減少していますが、既婚者の出生率(合計結婚出生率)はあまり減少していません(2.10〜1.96)。しかし、30歳代女性の未婚率は4倍以上に増えています。このことから、出生率の異常減少の原因は、未婚率の異常増加にあると考えて良いだろうと思います。
齢別未婚率(女性)
年次 合計特殊出生率 合計結婚出生率 30-34歳 35-39歳
1975 1.91 2.10 7.7 5.3
1990 1.54 2.02 13.9 7.5
2010 1.39 1.96 33.3 22.4
未婚率の増加は草食系男性の増加が原因
出生率減少の要因は、経済的要因、社会的・環境的要因など、色々あるでしょうが(特に独身女性の経済的自立)、ここでは、肉体的視点から出生率減少の問題を考えます。
世の中が豊かになり、落ち着いてきますと、つまり、経済的に低成長の時代になりますと、人間は冒険をしなくなり、落ち着いた生活を求める傾向が強くなってきます。仕事も無理をせず、適当に働く人の割合が増える傾向が出てきます。
これは、自律神経の立場で言いますと、副交感神経優位の人の割合が増えることを意味します。いわゆる、草食系人間*1)の割合が増えるわけです。この草食系の男性は恋愛などにあまり積極的ではありません。恋愛に消極的であれば、未婚率にも影響してきます。従いまして、草食系人間の増加は、結婚出生率を低下させる要因になりますし、女性の未婚率上昇の原因になります。この草食系人間の増加が、出生率の大幅低下を招いている原因と考えています。
骨盤を締めれば出生率が上がる
草食系人間、つまり副交感神経優位の人は、肉体面で言いますと(左の)骨盤が開き気味になっています。専門的には、(左の)骨盤の締まる動きが弱い(弾力がない)訳です。
従って、草食系の人は、(左の)骨盤を締める(弾力をつける)ことによって、男女間の問題にも積極的になり、出生率の向上が期待できるわけです。
左骨盤の締め方
左の骨盤を締める方法は、「健康)回復)法」の骨盤の弾力回復法で説明しましたが、念のために、ここでもう一度繰り返しておきます。
右の写真のように、左脚の骨の内側の際を両手の親指の先で押さえながら、(親指で押さえられている処を意識しつつ)静かに腹式呼吸をして下さい。そして、親指を骨のきわのみぞに沿って、膝からくるぶしの方に移動していきます。このとき、骨のきわがツルツルしていれば問題ありませんがみぞが途切れている処や盛り上がりのある処を中心に指先を押し当ててください。(親指の先を突き立てるようにして、ツルツルした処はさっと通り過ぎ、モッコリした処・みぞのない処で時間をかけて下さい。)大体、5分位行えば十分です。右の写真では座って行っていますが、寝た姿勢で行っていただいても結構です。
出生率を上げるには男女の出会いの場を増やせばよい
出生率大幅低下の主たる要因が未婚女性の大幅増加であるならば、女性の未婚率を下げれば、出生率が上がるはずです。それには、未婚草食系男性の肉食化、つまり骨盤を締めることで効果があるはずですが、いくら肉食化しても男女の出会える機会がないと、あまり効果が期待できません。
そこで、男女が出会える場をつくる必要があります。それだけが目的ではありませんが、現在の日本は、多くの例外があるとしても、少なくとも都会では地域コミュニティが希薄になっています。
ここで、地域コミュニティは、労働、教育、医療、遊び、スポーツや祭り・芸能などに関わりながら、住民同士の交流が行われている地域社会を意味します。つまり、都会には、そのようなコミュニティが無くなり、孤独な人々が増加していますので、自殺、孤独死やいじめなどが多く発生するのだろうと考えています。
大阪都構想が話題になっていますが、これまで、大阪府には中途半端な胃や肝臓、盲腸のような市が沢山あり、有効に機能していませんでした。都構想は行政サイドの問題ですが、各都市を有機的に結合して効率的に機能するようになればより望ましいものになります。しかし、その前提として、活発な地域コミュニティが存在しないと都市(町)としての各臓器は有効に働きません。
話が脱線しましたが、地域コミュニティの希薄化が婚姻率の減少につながっていると考えています。
地域コミュニティを活性化するための案はいくつかありますが、ここでは青年団(会)の活性化を考えてみます。
青年団(会)は、20歳から加入できる20歳代から30歳代の男女で組織される団体で、ルーツは鎌倉・室町時代にさかのぼります。青年団(会)は、年齢的に勤労者が中心で、活動として、各種の行事やスポーツ、ボランティア活動などが行われています。ただ、ある時期に特定のイデオロギーに凝り固まった人々が各地の青年団の主導権を握り、政治活動に利用しましたので、現在では、青年団(会)組織は衰え、イメージ的にも決して良いとは言えません。
しかし、現在では、独裁国家を理想的な国と宣伝しても信じる人は少ないでしょうし、インターネットが発達した現在、現実とかけ離れたイデオロギー宣伝や洗脳で組織を動かすのは難しくなっています。
従って、現在ならば、若者達が悩みや夢と希望、あるいは地域や社会の問題を語りあい、信頼できる仲間をつくり、具体的な活動をしたりしながら、人間形成や人生の一部として青年団(会)を活用できるのではないかと思います。
学校時代は多くの男女と隣り合う機会がありましたが、社会に出ると、友人もしくは恋人として接しうる同性や異性が少なくなります。しかし、青年団(会)のような場があると、多くの出会いの場が出来ますし、学びの場、リーダーシップを育成する場、生き甲斐を見つける場などを得る機会が増えます。
現在の成人式は、一体何の意味があるのかよく分かりませんが、この成人式が青年団への入団(会)式であるならば、出席する二十歳の若者達には、それなりの抱負と気負いがもて、心の区切りができるのではないでしょうか。
もちろん、青年団(会)にとどまらず、主婦の会や老人会(再青春会)など、様々な会が出来て地域コミュニティを形成するようになれば、より望ましいことです。そのような場を通じて、各人が、個人だけでなく、地域、社会、国、世界を考え、活動するきっかけやエネルギーを生み出す場になり、個人の可能性、有意義な人生を送る可能性を広げてくれることが期待できます。
一昔前まで、一部のマスコミを中心に、個人主義が異常に強調される時代がありました。個人の良心と自由な思想・行為を重視する立場ですから、その部分には全面的に賛同しますが、そこに義務と責任が生じることが理解されていませんでした。義務と責任を負わない個人主義はただのわがままです。個人は、社会があって始めて意味をもちます。絶海の孤島で1人だけしかいない場合に、そこで個人をいくら強調しても意味がないでしょう。スポーツ選手が自分のためにやっているといっても、ファンなどの存在を無視できません。プロであれば、ファンのために(人に喜んでもらうために)頑張っているはずです。
他人を愛せない人に本当に自分を愛することができるとは思えません。それは愛ではなく、自己中心的なだけです。人間は、自分、家族、所属する集団(社会)などに対する愛(点ではなく平面の愛)がないと安定した人格を形成できるとは思えませんし、安定した精神状態を保持できるとは思えません。個性は集団の中にあるからこそ、磨かれ、また発揮できるものです。人間には個性を発揮できる集団が必要です。一例として、青年団(会)をあげましたが、人生において、家族や職場以外に、自分を磨く機会のある組織、仲間は必要だろうと思います。それが仕事に役立つかもしれませんし、新しい才能に目覚めて、生き甲斐を見つけるきっかけになるかもしれません。常に可能性、広がりのある生き方をお勧めします。
*1)草食系男性とは
恋愛に積極的でない男性、あまり肉欲のない男性、もしくは、心優しく、恋愛で傷ついたり、傷つけられたりすることを避けたがる男性を意味します。
本ホームページでは、副交感神経優位の男性を草食系男性、交感神経優位の男性を肉食系男性と定義しています。
最近は、お肉に全く興味を示さない絶食系男性の割合が増えているそうですが、日本の将来が心配です。しかし、鼻の下の長い男性に大いなる期待をよせる時代がやってくるとは想像すらしていませんでした。