がんの予防法3 まとめと追加 |
がん予防法のまとめ
本HPにおけるがん予防の考え方は非常に単純ですが、長々と書いてしまいましたので、論旨が分かりにくいかもしれません。そこで、基本的な考え方と対策をまとめておきます。
まず、がんの発生とがんの増殖について確認しておきます。
がん細胞は偶然に発生する
がん細胞の発生要因は、DNA複写のエラー、紫外線、放射線、活性酸素、ウイルスなど、さまざまです(放射線も活性酸素を発生させます)。
これらの要因によって、がん細胞の発生確率が変わるにせよ、がん細胞の発生は偶発的と考えてよいでしょう。このがん細胞の発生確率を少なくするために、さまざまながん予防法が考えられているわけです。
しかし、実際問題として、がん細胞は毎日たくさん発生していますし(毎日数千個から1万個)、何十年も生きてきた人は、それこそ無数ともいえるがん細胞を発生させてきたはずです。それにもかかわらず、がんにならない人はなりません。
生活スタイル(食生活、住環境、仮定及び仕事環境など)によって、がん細胞の発生確率は違ってくるだろうと思いますが、「がんの予防法1」で説明しましたように、がん細胞の発生が、そのまま、がんの原因にはならないということです。
この点が、一般に信じられているがんの常識と根本的に違います。
がん細胞の発生原因と臨床的ながんの原因とは基本的に無関係
体内に発生したがん細胞は、免疫機構によって抹殺されるはずですが、毎日、同じ数のがん細胞が発生しているわけではなく、また季節など、環境によって大きく異なるはずです。このことも、がん細胞の発生要因を特別視しない理由になります。
1日あたりのがん細胞発生件数が多かろうと少なかろうと、それらのがん細胞は撲滅されなければなりませんし、撲滅されているはずです。
仮に、通常の何倍ものがん細胞が発生したとしても、身体はこれを異物と見なしますから、リンパ球を大量投入して撲滅するはずです。
しかし、中には撲滅されないで、増殖するがん細胞もあり得ます。それが臨床的ながんです。
そこで、なぜ撲滅されずに増殖したのかが問題になります。
増殖するということは、その部位での免疫力が十分ではないということです。その部位での免疫力が十分ではないということは、その部位での血液循環が良好ではなく、(局所的な)冷えがあることを意味します。
これは、何度も繰り返しますが、がん細胞の発生要因とは異なる事柄です。
要するに、臨床的ながんの原因は(局所的な)冷えになります。
臨床的ながんの原因は冷え(血液循環の不調・自律神経の不調)
結局、がんの原因は、(一般的な病気の原因である)冷えです。(局所的な)冷えは、血流が十分でないこと(血液循環の不調)によって起こります。言い換えると、自律神経の不調によって起こります。
(内臓や血液などの働きをコントロールしている)自律神経は、交感神経と副交感神経の総称ですが、交感神経が活性化しますと血管を狭めて血圧を上げることにより、血流を良くします。
また、副交感神経が活性化しますと、血管が広がって(内蔵の)血流が良くなります。
(一般に、交感神経は日中に活性化し、副交感神経は夜間に活性化します。)
しかし、自律神経が不調になると血流が悪くなります*1)。
例えば、交感神経が過緊張状態にあると、血管が狭まりすぎて、血液が流れにくくなります。また、副交感神経が過緊張状態にあると、血管が広がりすぎて血圧が下がり、血流が悪くなります。
自律神経が不調になる大きな原因は、過剰なストレスです。過剰なストレスとは、長期的に続く強いストレスですが、これがあると、交感神経が緊張し続けるので、対応する筋(肉)が緊張し続けます。
筋(肉)が緊張すると筋(肉)が収縮しますから、中の血管が圧迫され細くなります。
自律神経が正常であれば、交感神経の緊張が弛(ゆる)み、副交感神経優位への切り替えが適宜(てきぎ)行われ、対応する筋(肉)の緊張も弛(ゆる)みます。
しかし、交感神経が緊張し続けると(自律神経の不調)、対応する筋(肉)が緊張し続け、その筋は硬くなります。
従って、その中を通る血管も細くなったままですので、血流が悪くなり、その部位の細胞組織に十分な酸素や栄養素を送れなくなり、白血球などの免疫細胞の供給も不十分になります。当然、新鮮な血液による熱の供給も不十分になり、体温調整(機能)の不具合が発生します。これが冷えです。
その結果、組織細胞の損傷(内蔵などの病気)や発生したがん細胞の増殖(がん)を許すことになります。
がんの予防法は冷え解消(良好な血液循環・自律神経活性化)法
がんの原因が(局所的な)冷えであれば、がんの予防法は冷えの防止(冷えの解消)です。(局所的な)冷えを防ぐには血液循環を良好に保てばよいわけですが、このことは、自律神経を正常に保つことと同じです。
そして自律神経が正常であると言うことは熟睡できるということです。
自律神経の異常あるいは(局所的な)冷えの存在は、熟睡を妨げます。
結局、がん予防のカギは、
1.夜、熟睡する(ストレスをため込まない)
2.高体温を維持する(身体を冷やさない)
ことです。そして、この2つは相互に関連しています。
1.熟睡に関する補足
睡眠は脳と身体の休息であると言われますが、休息は単に休むことではなく、組織細胞の修復・再生を意味します。睡眠中に再生作業が活発に行われています。がん細胞も睡眠中に増殖します。
熟睡に必要なことは、体内に過剰なエネルギーを残さないことです。
頭に過剰なエネルギー(ストレス)を残したまま寝ようとしても、興奮状態にありますので寝付きが悪く、眠りも浅いものになります。
肉体に過剰なエネルギーがあっても、熟睡できません。肉体が疲れていない(組織破壊が少ない)からです。
この場合、肉体の過剰なエネルギーが睡眠中に肉体を動かし、熟睡を妨げる可能性があります。
(例えば、不必要な寝返りを打って、睡眠を妨げることなどが考えられます。)
過食も過剰なエネルギーです。この場合、睡眠中も内臓が活発に活動せざるを得ませんので熟睡できません。
結局、熟睡するには、睡眠前に心身共に疲れていることです。そうすれば熟睡します。
言い換えると、昼間、活発に活動して、交感神経を最大限、活性化させることです。すると、夜、副交感神経に切り替わったときに、副交感神経も最大限に活性化します。つまり、熟睡します。
これが、理想的な自律神経の活性化(良好な血液循環の維持)です。
<補足>
余命数ヶ月と告げられた末期がんの方が、残された人生を有意義に生きるために、山登りなど、生きる目標を定めて、懸命に生きたところ、予告された期間が過ぎても元気であり、そしていつの間にかがんも消えていたというような話を何度か聞いたことがあります。
これは、残された人生を懸命に生きようとして、昼間は活発に活動し、疲れて、夜熟睡した結果、自律神経が活性化し(血液循環が良くなり)、がん細胞に打ち勝つ免疫力を回復したからだろうと思います。
何度も言いますが、ストレス(緊張)は健康に不可欠です。ストレス(緊張)があるからこそ、自立神経が活性化します。ストレスが健康に悪いのではなく、交感神経活性化状態から副交感神経活性化状態に切り替えられないストレス、つまり、過剰なストレス(夜になっても緊張が収まらないストレス)が健康に良くないだけです。
逆に、昼間から半分寝ているような生活を続けますと、夜も半分起きているような浅い睡眠状態になり、自律神経の不調を招きかねません。
長時間睡眠は、そのような生活の一例です。
昼間活発に活動 ⇔ 自律神経の活性化 ⇔ ストレスをため込まない ⇔ 熟睡
がんの予防法 = 昼間活発に活動する(夜は熟睡):ストレスをため込まないことが重要
2.高体温維持に関する補足
高体温であれば血液循環が良く、免疫力が高いと考えられますが、逆に、血液循環が悪ければ(冷え)、高体温を望めません。
血液循環が悪い原因として、精神的なストレス、内臓などの疾患があります。従いまして、体温の低下を防ぐ(がん予防)には、まず、精神的ストレスと内臓疾患などの解消・治癒が必要です。
さて、高体温を維持する方法として、「がんの予防法2」で説明したように3つの方法があります。
(1)筋(肉)の量を増やし、筋(肉)をよく使うことによって発熱量を増やす。
(2)外部刺激などにより、血液循環を良くする。
(3)身体を内部から温める。
「がんの予防法2」で説明した方法をこの3つのパターンに分けますと、以下のようになります。
(1)筋の量を増やし、筋(肉)をよく使うことによって発熱量を増やす。
1.下半身の筋肉をつける。
3.腹式呼吸をする。
(2)外部刺激などにより、血液循環を良くする。
2.肩、足先など、身体の先端部を冷やさない。
4.湧泉(ゆうせん)と百会(ひゃくえ)を指先で軽く押す。
5.足湯を行う。
6.入浴時に、浴槽に十分につかる。
8.ふくらはぎをマッサージする。(追加)
(3)身体を内部から温める。
3.腹式呼吸をする。
7.身体を温める食べ物を増やし、冷やす食べ物を減らす。
9.瞑想を行う。(追加)
(1)で、下半身の筋肉が重要である理由は、人間の筋肉の7割以上が下半身の筋肉だからです。だからこそ、下半身をよく使う和式トイレや畳の生活が良いわけです。
だいたい、30歳頃から筋肉が落ちていきますが、特に、下半身の筋肉低下は激しいものがあります。これが、「老化は下半身から」と言われる所以(ゆえん)です。
戦前はむろんのこと、少なくとも1960年頃までは、日本人の体温の平均は36.8℃以上ありました。この平均体温は、現在、36.2℃程度まで下がっています。
その理由は、下半身の筋肉が減少したからではないかと考えています。つまり、電化製品(例えば掃除機や洗濯機)と車の普及が下半身を使う頻度(ひんど)を減少させたと考えています。
3.の「腹式呼吸」は、横隔膜と内臓を動かして内蔵を鍛(きた)える(内蔵の運動)という点において(1)の側面がありますが、基本的に血液循環を良くしますので(3)です。腹式呼吸によって、血液循環が良くなりますが、新鮮な血液で身体を温める効果とともに、酸素や栄養素の流れをスムーズにしますから、それらの燃焼による発熱効果を高めます。
(2)外部刺激による体温上昇に関する補足
血液循環を良くするツボとして、「がんの予防法2」では、場所が簡単に分かる湧泉(ゆうせん)と百会(ひゃくえ)を説明しましたが、すこし補足しておきます。
一応、血流を改善するツボの御三家は、上半身の血流改善に効果がある膈兪(かくゆ)、下半身の血流改善に効果がある血海(けっかい)、全身の血流改善に効果がある三陰交(さんいんこう)です。
とくに、三陰交(さんいんこう)と血海(けっかい)がよく使われます。しかし、膈兪(かくゆ)は野口療法(整体)でよく使う場所と一致しています。つまり、野口療法ではここをよく使います。
膈兪(かくゆ)
膈兪(かくゆ)は、左右の肩甲骨(けんこうこつ)の下端を結んだ線と、背骨の中心線の交点から約2cm(指2本分)外側の処で、脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)の処です(盛り上がった処になります)。また、胸椎7番と8番の中間の位置にあります。(右図参照)
膈兪(かくゆ)は、三陰交(さんいんこう)や血海(けっかい)に比べるとツボとしてはマイナーな印象がありますが、野口療法(整体)では、胸椎8番二側として大変重要な処です。
自分で押す場合は少し難しいかもしれませんが、静かに腹式呼吸をしながら、親指でじーっと押し込み、そしてゆっくり抜きます。これを5分位行ってください。週1,2回で結構です。これで血流が良くなります。
野口療法には、このすぐ側にある、冷えなどを改善する体温調整点もありますが、少し専門的になりますので、ここでは省略します。
ツボとしての膈兪(かくゆ)は、体温上昇に有効ですが、血流が原因になっている諸症状にも有効です。
血流停滞による腰痛、肌荒れ、頭痛、肩こり、月経不順などです。また、消化器系統の不調にも有効です。
また、横隔膜は、胸椎8番付近まで上がりますので、しゃっくりや喘息(ぜんそく)にも有効な処です。
<補足>
膈兪(かくゆ)を含め、多くのツボは、私自身、読めず、書けない名称が多いので、個人的にはツボには余りなじめず、使う意欲がわきません。
野口療法でよく使う処と一致するツボも少なくありませんが、ツボの処置の仕方が野口療法とは違いますので、効果も違うように思います。ただ、鍼灸(しんきゅう)では、名人級の方が処置するのであれば、それなりの効果があるだろうと信じています。
血海(けっかい)
脚を伸ばして少し力を入れると、ひざのお皿のすぐ上(内側)にくぼみができます。そのくぼみの上が血海(けっかい)になります。だいたい、ひざのお皿から2cm〜3cm上の処です。(右図参照)
親指でじーっと押し込み、そしてポンと抜きます。これを5分位行ってください。毎日行っても効果があります。
血海(けっかい)は、下半身の血流改善に有効です。左の血海は生理痛やホルモンバランスの改善にも有効です。
三陰交(さんいんこう)
三陰交は、内側くるぶしの上、指3(4)本分位の位置にあります。(右図参照)頚骨とふくらはぎの筋肉の境界付近の処です。強く押すと痛みを感じる場所です。痛みを感じなければ、ツボからはずれています。
親指で強く押し込んでいきます。そして、ゆっくり抜いてください。約5分、毎日行っても結構です。
三陰交は、全身の血流を改善するツボですが、冷え、生理痛、更年期障害を改善するツボとして有名です。野口療法(整体)でもよく使います。
ツボではありませんが、アキレス腱も血流を良くするポイントになります。
アキレス腱の少し上付近を一方の手でつかみ、他方の手で足先を持って、足を前後、左右に動かします。
効果的に行うには、少し技術が必要ですが、適当に動かしてもそれなりの効果があるだろうと思います。
効果的に行えば、片足で1分程度行えば十分です。
8.ふくらはぎをマッサージする(追加)
脚の筋肉が落ちると、足から心臓に戻る血液の流れが弱くなります。そこで、ふくらはぎをマッサージして、無理矢理血流を良くすれば、全身の血液循環が良くなります。
親指と他の四指でふくらはぎを挟みながら、締めるような感じでアキレス腱の付近からひざ裏まで行きます。もむようにしても結構です。石油ポンプを押すようなイメージで、ふくらはぎを両側から締めつつ、ひざまで上げていきます。締め続ける必要はありません。ポンプと同じです。ギュッギュッと締めれば結構です。
これらの操作に共通していることですが、呼吸は自然な腹式呼吸をしながら行ってください。意識して腹式呼吸を行いますと、みぞおちに力が入り、みぞおちの周辺が硬くなります。これは、健康に良くありません。
風呂上がりなど、ふくらはぎが弛んでいるときに行えば効果的です。両側を締めなくとも、ふくらはぎの内側を親指で押すのも効果があります。だいたい5回〜10回位行ってください。
わざわざ紹介する必要はないと考えていましたが、このような方法もあるということを知って頂いても悪くはないだろうと思いましたので追加しました。
(3)身体を内部から温めることに関する補足
9.瞑想を行う(追加)
血流を良くして体温を上げる有効な方法に瞑想があります。
この方法は少し訓練が必要なことと、最初は適切な指導があった方が良いように思いますので、血液循環の向上にはきわめて有効な方法ではありますが、ここでは言葉だけの紹介にどどめます。いずれ、きちんと紹介するつもりです。ただ、瞑想は、健康維持、若さの維持、様々な能力の向上など、多くの可能性を秘めていますので、瞑想について全くご存じでない方は心の片隅に「瞑想」という言葉を残しておいてください。機会がございましたら、ぜひ挑戦してください。そのために追加しました。
ここに書くことではありませんが、私の努力目標の一つは、小学校のカリキュラムに瞑想を組み込んでもらうことです。
<補足>
古神道や太極拳などの動きは、非常にゆっくりした動きですが、下半身を中心に主にインナーマッスルを鍛える動きです。この動きによって、(毛細血管を増やし)血流を良くします。つまり、気の流れを良くします。
同様に、ここでは省略しましたが、トルーレイキ法の訓練も、簡単にレイキ(気)の流れを強くする訓練です。同時に、血流を良くする訓練でもあります。動きに伴う気の流れが感じられると、どのような動きが気の流れを良くするかが分かります。それを追求していけば、気の流れを良くする効果的な動きが分かります。
*1)自律神経が正常であれば、交感神経が活性化した(交感神経優位の)状態と副交感神経が活性化した(副交感神経優位の)状態の切り替えがスムーズに行われています。
通常、心身が活発な活動をしている昼間は交感神経優位の状態にあり、心身が休息・リラックス状態にある夜間は副交感神経優位の状態にあります。
ところが、自律神経が不調になりますとこの交感神経と副交感神経の優位状態の切り替えがスムーズに行われなくなります。
過剰なストレスがありますと、夜になってもリラックスできずに交感神経有意の状態が続きます。寝る段階になっても副交感神経の優位状態に切り替えられないため、眠りにくくまた眠りも浅いものになります。
自律神経正常(自律神経活性)
(活性化した)交感神経と(活性化した)副交感神経の切り替えがスムーズに行われる。
自律神経不調
交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに行われない。
あるいは、交感神経と副交感神経の切り替えが行われていても、どちらもあまり活性ではない。
交感神経と副交感神経のどちらかが活性であれば、切り替えられたときに他方も活性になります。