健康と野口整体 |
健康Health
はじめに、健康の定義について考えておきましょう。
1948年に設立された世界保健機関World Health Organization(WHO)は、1948年の世界保健機関憲章の前文で以下のように健康の定義をしています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
[和訳] 健康とは、身体、精神、社会的に完全に良好な状態であることを意味し、単に病気または虚弱でないということではない。
要するに、健康とは病気や虚弱でないだけでなく、十分な身体能力があり、適切な教育を受け、社会的な立場や人間関係が良好であり、精神的に安定した状態であるということでしょか。しかし、非常に抽象的です。
この説明では余りにも堅苦しく重いので、大幅に割愛して、一般には、
健康とは、病気などがなく、心身が健やかな状態
であると考えて良いでしょう。
しかし、医学的にみて、身体的、精神的に問題が無く、また社会的にも良好と思われる人が突然倒れたり、ガンになったりしています。丈夫で健康と思われる方が大病になったり、突然死している現実があります。
別な言い方をしますと、剛構造はどっしりしていて安定感はありますが、もろさがあります。一方、柔構造(じゅうこうぞう)は、頼りなさそうに見えますが、強靱さ、柔軟さがあります。
健康の概念にもこのような視点が必要です。つまり、人間を取り巻く環境は季節の変動など常に変化しており、そのため、人間の身体も環境の変化に応じて揺らいでいます。揺らぐことが自然であって、揺らがない方が異常であり、鈍い身体であると言えます。
従いまして、このサイトでは、静的な「健康」状態に重きをおかないで、動的な状態を重視します。つまり、
健康な身体および精神は、常に理想的な健康状態を中心にして揺らいでおり、健康な身体および精神は、
本来の健康状態からずれた場合にも、速やかに反応して健康な状態に戻る力のある身体・精神
と定義します。*1)
心身の恒常性を維持する能力が健全であれば健康
言い換えますと、心身の恒常性を維持(ホメオスタシス)する能力が健全(自然治癒力が十分備わっている)であれば、健康であると考えて良いのではないかと思っています。
例えば、季節の変わり目には、次の季節に対応できるように身体が変化する必要がありますが、うまく対応できない身体があります。そのとき、風邪を引くことによって、次の季節に対応できる身体に変化します。従って、季節の変わり目に引く風邪には、必要性(必然性)があります。むしろ、風邪を引く必要のある身体であるにもかかわらず、風邪を引けない身体の方が問題です。このような身体は、一見、丈夫そう、健康そうに見えますが、積もり積もって大病を患う危険性があります。
これは野口療法(整体)の考え方ですが、小病を患うことで大病を防ぐことができます。この考え方は大変重要ですので肝に銘じておいてください。
*1) 社会的な健康は、このサイトのテーマの範囲外になりますので、言及いたしません。